胆石日記9

●2012年2月10日(手術)
 5:00、目が覚めてトイレへ。夕べは下剤を飲んで寝たが、まだ便意はなし。夜は眠剤を飲んだせいか、よく眠れた。気がつくと枕元には、「2月10日12時〜手術、朝昼絶食中」の札がかかっている。
 6:00、室内灯が点灯。
 6:40、検温。35.9度。
 7:00−8:00、ダイニングでメモを打っていると、朝食をここでとる人もちらほら。トーストの焼ける匂いが香ばしく、めちゃくちゃお腹が減るが、本日は終日絶院絶食なり。明日の午後からは普通食に復帰のはずなので、明後日の朝はトーストを焼くのだ!、と固く決意。
 8:25、OKB医師来。手術の前にちょっと顔見せみたいなところ。二言三言話して、すぐ帰られた。
 10:15、血圧測定(108/78)のあと浣腸、できたら5分ぐらい我慢してくださいということだったが、1分ほどでトイレにかけこむ。
 10:45、手術用にパジャマを着替える。LLサイズで、すそが足首まである。 脚には、エコノミー症候群対策のストッキング。けっこう圧がきつい。ハイソックスなんて履くのは小学校低学年の時以来だ。 点滴の袋には開始液KN1号輸液と書いてある。大塚製薬製で、使用期限は2014年9月。 500cc中に、塩化ナトリウム2.25g、ブドウ糖12.5g、熱量50kcalとある。エネルギー源のブドウ糖入り生理食塩水ってわけか。
「あとは手術まで、ゆっくりしてて下さい」
とは言われたものの、初体験手術前にそうそうのんびりした気分にもなれず、点滴付きでは身体の自由もままならずで、ベッドで大人しく座っている。

 11:40、予定より少し早くお呼びがかかる。手術室へは点滴の台を押しつつ、妻も一緒に歩いて向かう。入り口で「はい、じゃ奥様はここまで」としばしの別れ。手術の担当者には、氏名をフルネームで名乗って本人確認をされる。点滴を吊ってる台も、手術室用に交代。ガラガラと点滴台を押しつつ手術室に向かうと、病院案内のビデオで見た足踏み式のスイッチで手術室のドアが重たげに開く。

 中に入ると、テレビで見たことのあるような亀甲型に白い照明の並んだライト。その下には手術台だが、これが十字架の形をしている。頭には、お風呂場で使うシャワーキャップのような帽子をかぶせられて手術台の上に。身体の上からは深緑色のカバーをかけられて、寝巻きは脱がされる。足と両手は台に固定され、なんだか気分は十字架のキリストのようである。口には酸素マスク。酸素って呼吸が楽になるのかと思ったら、口と鼻を覆われるのでこれが意外に息苦しいものであることは初めて知った。

 左腕の点滴がはずされて、薬を注入する準備がされる。若手の助手なのか、研修医なのかの手際が悪いらしく、なにやら叱られている。
「ここまで来てへんのに、つないだらあかんやろ!」
などという声が聞こえるのだが、それって繋ぐ先はワタシの身体なんですけどと、ちょいと不安。客の前で従業員を叱るのは止めてほしいもんだ。
「じゃあ、薬入れていきます。ちょっと痛いですよ」
という声とともに、左手から冷たいのが上がってくる。
「麻酔薬が入ってきたんだな」
と思ったのもつかの間、左上腕部を冷たい感覚が上がってくるのを覚えているだけで、次は麻酔から醒めた後だった。いやぁ、麻酔ってよく効くもんだ。

 さて、目覚めた後は病室に戻るのだが、ベッドに移されても天井を見上げたままの姿勢で、十分には動けず、右へ左へと動かされながら、病室へ向かう。次にどっちにベッドが動くのか分からず、頭がフラフラするので移動はとても気持ち悪い。

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