自分でできる抵当権抹消登記

「自分でやってみました」という方の声を、掲示板に多数いただいております。ご自身で抹消登記をやってみようと思われる方は、こちらもぜひご一読ください。

2007.9.下旬
現在の家を購入して、賃貸のハイツから引っ越したのが9年前。そのときに組んだローンを、今年2007年にやっと払い終えました。さてさて、これで家も土地も自分たちのものになったわいと思っていたところ、銀行から書類が送られてきました。ローンの完済の連絡なのだろうと思って封筒を開けてみると、「抵当権抹消手続に関するお願い」という文書が入っていて、その書類に曰く

とのこと。

う〜〜ん、数万円ってか・・・・、と思いつつ、インターネットで調べていると、司法書士事務所の報酬は、安いところで5,000円。高いところだと20,000円ぐらい。5,000円ぐらいだったら頼んでやってもらってもいいかと思いますが、20,000円といわれると、夫婦でちょっとしたディナーを食べにいけそうな金額です。法務局のホームページに、Wordや一太郎そしてPDFの形式で、登記申請の雛形があったり、自分でやってみましたという記事を公開している方のサイトを見ていると、どうも司法書士にお金を払わなくても、自分でやれそうだと思い、トライしてみることにしました。

2007.10.初旬
抵当権抹消の登記の雛形をダウンロードしてきました。法務局もオンライン化がすすんでいて、書式にも「オンライン庁」「非オンライン庁」の区別がありますが、私の住む市は非オンライン庁にあたるので、そちらを採用。冒頭に、「書式の解説」というところがあって、雛形の各所に注記されたところを、どう書けばいいのか記述されています。このところを注意深く読んでみます。

まずは、(注1)にある「乙区(その不動産に関する所有権以外の権利関係について記載している部分です)の何番の抵当権を抹消するかを表示します」というところで、いきなりつまずきました。銀行から送られてきた書類には、乙区だの、何番の抵当権だの、という記述はありません。どうしたもんかな、と思いつつ過去の書類を引っ張り出してきて見ていたら、登記済権利証書という書類の中に、この記載があるのを見つけました。
(登記済権利証書)

(3番抵当権の記述)

順位番号の3のところに、「条件付抵当権設定仮登記」と書かれています。なるほど、これが3番抵当権てことになるんだな、と思ったしだいです。

次は注2、「債務を完済して抵当権が消滅した日」とのこと。これは銀行から送られてきた書類に、平成19年9月28日に弁済と書かれていたので、これと分かります。

注3は、私たちの住所を書くところですが、「登記事項証明書の記載と一致している必要があります」との注意書きが・・・。上に書いた登記済権利証書には住所が書かれていますが、今の家に引っ越す前の住所になっています。まあ当然といえば当然なのですが、家を買うときには、まだ前の賃貸のハイツに住んでいましたから。

一致していない場合は、事前に登記簿上の住所,氏名又は名称を現在のものに変更する必要があります」ということなので、再度、法務局のホームページを探すと「登記名義人住所変更登記申請書」というのが、抵当権抹消登記の雛形の隣に掲載されていました。

(登記名義人住所変更登記申請書)

ということで、ウチの場合は、まず登記名義人の住所変更の登記申請をやって、その後で抵当権の抹消登記をしなければならないことが分かりました。住所変更の登記には、登記原因証明情報(要は住所が変わったことを証明する書類)として住民票の写しが要るようです。そうはいっても、この登記申請は、たんに住所が変わりました、というだけの書類なので、記入はかくべつ難しくありません。所有権は妻と私の二人で保有しているので、住所変更の届けにも二人の名前が要りますし、押印もそれぞれのが必要です。

さて、ちょと住所変更の書類に寄り道しましたが、また抵当権の抹消登記の書類に戻って、添付する書類の確認が、注5から注9まで続きます。

(注5) 抵当権者の登記済証(権利証)の原本
これは銀行から届いた書類の中にありました。タイトルもこのままなので分かりやすいです。

(注6) 登記原因証明情報
抵当権抹消登記の場合は,抵当権者が作成した弁済証書や解除証書がこれに当たります」という書類です。要は抵当権を放棄しましたよ、という趣旨のことが書かれた書類のことで、私の場合は、「権利放棄証書」という書類に、この趣旨が書かれていました。

(権利放棄証書)

このように、法務局の雛形に書かれている書類の名称と実際に自分が入手している書類は異なることがあります。このへんが自分で手続するときに、迷うところ。実は私の場合も、これが良く分からなかったので、確実に自分で分かるところだけを記入して、あとは銀行から送ってきた書類や、家を買ったときに作った登記にかかわる書類を全部もって、法務局の相談窓口に行きました。窓口の担当者のおじさんは、とても丁寧に応対してくれて、その場で書類を整えることができましたので、ご自分でトライされる方は迷ったらとにかく法務局で相談することをお勧めします。お役所仕事で高飛車に言われないかとか、めちゃくちゃ待たされるとかの心配は無用です。

以降は、(注7)の「会社の代表者の資格証明書」、(注8)の「委任状」についても、それらしい書類がありましたので、迷うことはありませんでした。

(代表者証明書)(委任状)

あとは抹消登記をする登録免許税の金額と不動産を記載します。たいていの方は、家を買うときに、土地と一緒に購入すると思います。登記は土地と建物を別々に登記します。免許税は一筆あたり1,000円なので、私の場合も土地一筆、建物一筆の計二筆で、免許税は2,000円。これは印紙を買って貼付します。

不動産の記載は、郵便物を届けるときに使う住所とは違う記述なので、ここは要注意。とはいっても、変に考えずに登記事項証明書のとおりに、忠実に書くことです。我が家の場合も、郵便物が届く時の住所は「3丁目6番32号」なのですが、登記事項のほうには「3丁目121番8」となっています。

これでようやく、抵当権の抹消登記申請の書類ができたわけです。

(抵当権抹消登記の申請書)

これだけを調べて、準備をしてたのですが、その後仕事が忙しくて、二ヶ月ぐらい放置していました。で、やっと平日に休みが取れて、窓口に行ったのが、11月の28日です。

2007.11.28(水)
さて、この日はすぐに書類をもって法務局にいったかというと、そうではなくって書類を作りなおしておりました。前に作ってからの間にパソコンが壊れて、ハードディスクのデータも全部ふっとんでしまっていたせいです。

一度作っていた書類を、また最初から作り直し、住所変更の登記に必要な住民票の写しを市役所に行って取ってきて、準備万端ととのええて法務局に行きました。

法務局には、相談窓口というところがあって、待たされることもなく、係りの方が応対してくれました。銀行から送ってきた書類と、自分で作った住所の変更と抵当権削除の登記申請書、いっさいがっさいを係官に見せて、言われるがままに記入していきました。

その場で書いたのは、

一箇所修正したのは、

私は、「平成19年9月28日弁済」と記入したのですが、登記原因証明情報にあたる「権利放棄証明書」には、「権利を放棄します」と書かれています。この「放棄」と「弁済」の文言が異なるのがまずいということ。

銀行から送られてきた書類に、9月28日で弁済がうんぬんと書かれていたので、それを鵜呑みにして「弁済」を書いたのがいけなかったようです。このように書類に書く文言は、関係する書類間で、ホントに一言一句まで合っていないといけません。

けっきょく、抵当権抹消登記申請のほうを、チョチョイと二重線で訂正して、「放棄」と書き直してOKとなりました。修正印も要らないのが安易なのでありましたが、まぁそんな程度です。

あとは、係りのおじさんが、ホチキスで書類を留めてくれて、住所の変更と、抵当権の抹消との二部の書類を準備してくれました。これで2000円分の収入印紙をそれぞれに貼って、窓口に提出し、本日の作業は完了。

ながなが書きましたが、相談窓口では30分もかからなかったです。あとは書類のチェックを法務局がして、何もなければ3日後には手続完了とのこと。何か書類不備があったら電話します、とのことだったので、ワクワク&ドキドキしながら、待つことにしました。電話がなければ12月3日の午後には受け取りにいくことに。

2007.12.4(火)
特に電話もなく週末を迎えたので、印鑑と受取証をもって、法務局に行きます。8:30amから営業しているので、朝食後すぐに出かけました。受取証を窓口に出すと、台帳に押印して登記済の書類を受け取りました。

(抹消登記済)

抵当権抹消済は、大きな朱印でも押してあるのかと思ったら、抵当権設定済の朱印の隅っこに、黒のゴム印で「法務局抹消登記済」と押してあるだけで、ちょっと拍子抜け。

けっきょく我が家の場合で、かかった費用は、

の計4,300円、ということでした。

家を買うなんていうのは、一生に1度か2度のイベントなので、こういう手続きを自分でする機会はなかなかないと思います。めんどくさそうですが、難しい作業ではないので、ちょいとレストランでおいしい食事するぐらいのお金が浮くと思って、チャレンジするのはお勧めです。

この記事をご覧になった皆さん、ご自分でトライされた感想や、この記事で分かりにくかったことなどを、掲示板でお知らせくださいませんか。これから抵当権抹消登記にチャレンジされる方への参考にもなります。あなたのノウハウをみんなの知恵にしていくのに、お力添えいただければと祈念しています。

(2010/7/17更新)

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