銀座 HOW TO バーフライ

 

タイトル

銀座 HOW TO バーフライ −カウンター族入門−

著者

森下賢一 

出版社

毎日新聞社

価格

¥1,300(消費税込み)

ISBN

ISBN4-900464-15-5

カウンターバーを愛する酒のみに捧げる一冊です。

「バーフライ」とは、米語の俗語で「バーに入びたりの人、バーの常連」という意味。ミッキー・ローク主演の映画もありますね。著者が三十数年に渡って、飲み歩いた銀座のバーでの経験をもとに、「自分の飲み方をみつける」「自分の酒場をえらぶ」「知っていて荷物にならない酒の話」の三テーマについて語ってくれます。

「知っていて荷物にならない酒の話」は、酒飲み達の観察記録。「自分の酒場を選ぶ」は、居酒屋・キャバレー・クラブ・ビアホール等などの、各種の飲み屋の使い分け方・良い所・悪い所のオハナシ。

ま、以上二つはさておき、私の気に入っているのは「自分の飲み方をみつける」という第一章。「カウンター・バーにおける酒の飲み方はいかにあるべきか」についての話です。

  • いいカウンター・バーの第一の資格は、客がいい店ということに尽きる。そして、バーのいい客とは、肩書とか、仕事ができるとかいうこととは関係なく、「大人」だということだ。(P13「カウンターのある世界」)
  • 酒の場所でも、やはり一番いいのは友人だ。いろんな人間がいたが、やはり酒飲みにはしょせん大悪人などいない。振り返ってみれば、みんな友達だ。(P40「酒場の先輩・後輩」)
  • 新人は、はじめは概して、肩に力が入っていて、ドライ・マーティニやプレミアム・バーボンをダブルでなん杯もお代わりするなど、飲みすぎたり、無理して高い酒を飲んだり、背伸びしているが、やがて自分の酒、自分の飲み方を見つけて落ち着く。要するに、自分なりの飲み方とは、無理のない自然体ということに尽きる。これは、酒を選ぶに当たっても、酒量に関しても、ほどほどのペース配分を守るということだ。(P54「自分の飲み方」)
  • よく行きつけの酒場へ人を連れてきて、いきなり「水割りでいいですか」などという人がいる。そういう人は人をもてなすということが全く分かっていないのではないか。(P57「酒場と相性」)
  • 現在、社会で中級管理職以上のポストにいる人々の大半は、日本の洋風酒場が極度にケジメというものをなくした、高度成長と水割りウイスキーの時代に育った人たちで、酒飲みの手本としては、大体落第と思っていい。基本的には、人の金、会社の金で酒を飲んできた人たちだ。酒というものは、本質的には自前で、そしてひとりで、あるいは話の分かる相手とサシで飲むものだということすら分からない人たちである。(P58「酒場と相性」)
  • 森鴎外は「男は四十になったら自分の顔に責任を持て」と言ったそうだが、ぼくは「男は月給をもらうようになったら、自分の行く行きつけのバーに責任をもて」と言いたい。(P59「酒場と相性」)
  • 酒は食品・嗜好品のなかでも、社会的な飲み物という一面を持つ。ひとりで飲む寝酒なら別だが、酒場で飲む酒は、たとえひとりで飲んでも、酒場の主人や周囲の飲む人々と一期一会の縁を生じる。(P59「酒場と相性」)
  • どこかで覚えたばかりのカクテルを次のバーで新しがってすぐ口にするのをよく見かける。無邪気と言えないことはないものの、大人のするべきことではない。店によって、得意のカクテルは違う。それが酒場の個性でもある。見当違いの注文をするのは、みっともないことでしかない。(P63「酒場と相性」)

いかがでしょう。たかが酒飲み、されど酒飲みです。バーで酒を飲む時、それは自分を試されている時でもあります。自分の飲み方のスタイル、飲む場所と時間の選び方、酒の種類、酒の薦め方、飲む相手、すべては自分という人間の生き方の一面なのです。

あなたは、「自分の飲み方」を身につけていますか。そして「自分の飲み方」に自信がありますか。

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