たいていのバーの開店時刻からすると1時間以上は早い。この時刻にカウンターに座るのは、たいてい近所の常連の旦那衆。悠々自適に暮らしておられるような常連さん同士の語らいにには、ゆったりとした上質の時間が流れ、いつも何かに追われるような気分の我々の暮らしとは、別のリズムがある。ほんの10数メートルはなれた御堂筋の、轟々たる喧騒とは明らかに一線を画す。
マスターの吉田さん亡き後、カウンターに立つのは大道さん。胸に手書きの名札を付けている。カウンターも、バーバックの棚も何年も使い込まれた木の色と、磨きこまれたニスの色が美しい。壁にも棚にも雑然といっていいほど、数多くのボトル、ノベルティ、額などが並んでいるのだが、それらすべてがピカピカに磨かれていて、且つ整理整頓されている。細かいところにまで神経を配って初めて出来る仕事だ。
カウンターで、まずハイボール。ウイスキーと炭酸と氷とステア、これだけのシンプルなカクテルが、老舗のバーで頼む最初の一杯にふさわしい。ダブルのウイスキーにウィルキンソンの炭酸。素人でも手に入る材料だが、カウンターのプロがつくるハイボールには、絶妙のバランスがある。
1931年開業のこの店は、西の横綱といって過言でないほどの名店だが、コースターに書かれた、「The Newest and the Oldest」の台詞に、いつまでも新鮮であり続けようとする意気込みが感じられる。老舗の持つ風格と、そこにとどまろうとはしない進取の精神に満ちあふれたバーだ。
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吉田バー | |
住所 | 大阪市央区難波2−4−6 | 電話 | 06−6213−1385,1386 |
営業時間 | 16:00〜22:00 第二、第四土曜日と日祝休 |
座席 | カウンター10席、テーブル16席 |