大腸ポリープ日記

 健康診断で見つかった大腸ポリープ。その検査から手術までの記録です。手術と聞いてちょっと腰が引けてるあなたへ、大腸ポリープの手術って、こんなもんです。私の入院初体験記、よろしかったらお付き合いください。

●定期検診(2001/7/24)
 先の健康診断の結果、便に血が混じっているとのことで、大腸の精密検査を受けることになった。ドクターの説明を聞いていると、肛門からカメラを突っ込んで、盲腸まで届かせて、引き抜きながら大腸内部を見ていくそうな。所要時間は30分〜50分。腸内の様子はモニターで見えるそうなので、余裕があれば自分の腸内を観察する機会にも恵まれる。

 検査結果は10日ぐらいで知らされるそうだが、一番心配されるのは大腸がん、次が悪性のポリープらしい。ポリープは小さければあっても放置するし、切除するのも簡単にできるそうだ。年を取ってくると、ポリープができるのは普通のことで、そのまま気づかずにすごす人もたくさんいるとのこと。

 大変なのは事前準備。なにせカメラで腸の中をみるのだから、便を全部出して、すっからかんにしないといけない。検査前日は、通常の食事はダメで、朝昼晩とおかゆみたいなのを食べる。間食用メニューまでついている親切さだ。どうしてもお腹がすいて持たないようだったら、氷砂糖でもなめて空腹を紛らわしなさい、とのアドバイス。検査前日の夜は、3種類の下剤で強制的に下痢を起こさせ、腸に何も残らないようにするらしい。この薬が、便秘解消に飲むときには、ひとつだけで十分というシロモノらしいが、それを三種類も飲むんだから、ちょっと思いやられる。

 まぁ、結果的になんにもなければ、自分の腸内見物も出来て、異常がないことも確認できて、バンバンザイなんだな。

●検査前日(2001/7/29)
・朝:おかゆ、味噌汁
・昼:おかゆ、すまし汁
・夜:ポタージュスープ
・その後、寝るまでの間に下剤三種類。
・間食用に、飴×2個、ビスコ×5個、エネルギー補充用の粉末飲み物×2袋。

 こんだけが、検査前日の食事。さすがに腹が減る。その上に、今日は奈良の実家で町内の夏祭りがあり、子供達がこれに出るので、朝早くから実家へ移動。晴れ上がった夏空の下で、お神輿を引っぱる子供達の後を追いかけて、ビデオをまわして、写真を撮る。普段以上に疲れるのに、こんな食事だから、さすがにまいってしまう。

 夜に飲む下剤も、8:00、10:00、就寝直前と時間が決まっていて、昼の祭りの疲れで眠たくなってくるのを我慢して、起きていて下剤を飲む。明け方から下痢症状になって、大腸内の残物をすっかり吐き出す、という段取りになるらしい。さてさて検査も体力を使うもんだ。検査が終了したら、ラーメン+炒飯大盛りでも食らうとするか。

●検査当日(2001/7/30)
 午前3:00頃と、5:00頃にトイレに駆け込んで排便。その後、7:00ごろにもトイレに行くが、出るものは水のような状態。健康管理センターにたどり着くまでに、電車に乗っているうちに便意が来ても困るので、十分余裕をもってでかけるように、との看護婦さんのアドバイスにしたがって、空いているうちにJR・地下鉄を乗り継いで、8:00には到着。受け付けに行くと、案内は8:30からとのことなので、問診票を記入しながら待っているように言われる。ロビーには、同じように検査を受けるのであろう、おぢさん達がたむろしている。夏休み中のせいなのか、子供連れ、家族連れで来ている人もいるのは、子供達や奥さんが検査を受けるのだろうか。

 9:00前になって呼ばれて、更衣室兼検査室に行く。まだ先約の人が着替え中ということで、廊下の長椅子で看護婦さんから簡単な問診を受ける。昨夜から3回トイレに行ったと言ったら、ちょっと少ないですねェ、と切り返された。いったい何回トイレに行かせれば気が済むのだろう。

 問診がすんで、更衣室に入ると、
「靴下も下着も全部脱いで、これに着替えてください」
と言って検査服の上下を渡される。お尻のところに、直径10センチぐらいの穴が開いている。ここから検査用のファイバースコープを入れるのかぁ。こういう専門の衣服を作る商売もあるんだなぁ、などとつまらぬことを考えて、気を紛らわす。待つことしばし、名前を呼ばれて、検診の台に上がる。
「最後にもう一回浣腸をして、お腹の中を空にします。左側を下にして台に横になって、エビのように身体を折り曲げてください」
言われたとおりのスタイルにすると、ちょうどズボンにあいた穴のところに肛門が来るようになっている。う〜〜、ちょっと情けない格好だ(;_;)。
「ハイ、じゃあ浣腸します」
という声とともに、冷たいものがヌルっとお尻に入ってきた。看護婦さんが、そのままお尻のところを手で押さえている。
「はい、薬がお腹の中に十分まわるように、そのままの姿勢で左回りに三度回ってください。5分ぐらい我慢してからトイレに行って、すっかり出してきてください」
ハイハイと、検査台の上に横たわったままで、3度ぐるぐるぐると寝返りを打つように回る。
「はい、けっこうです。トイレは更衣室を出た右手にありますが、いっぱいだったら二階にもありますから、そっちを使ってください」
更衣室兼控え室の長いすで5分ぐらい待ち、その後にトイレへ。出るのは水のようなのに、ちょっともわもわっとしたのが混じっているのばかり。控え室に戻って順番待ち。順序は4番目だが、検査をする部屋が二ヶ所あるので、先の一組の終わるのを待つ。隣りの長いすに座っている男性も、同じ検査を受けるのだろうが、お尻に内視鏡をつっ込むという、あまり格好の良い検査ではないせいか、お互いに目をあわさないように時間を過ごす。

 先客のひと組が終わって、検査室に呼ばれる。担当は若い女性のドクターと看護婦さん。さきほど同様、左側を下にして検査台に寝て、えびのように身体を曲げる。内視鏡を入れやすいように、肛門のまわりになにやらぬるぬるしたのを塗ってから、いきなり指をつっこんで、直腸のあたりを指でぐりぐりする。内診なのか、内視鏡のとおりを良くするための処置なのか。どっちなのかな。
「はい、じゃあ入れていきます」
と宣言されて、お尻から内視鏡が入ってくる。別に痛みがあるわけではなく、肛門に何やらはさまってる感じがあるぐらい。
「腸内が見やすいように、空気を入れてふくらませていきます。苦しかったら言ってくださいね。おならが出そうになったら、遠慮せずにしてけっこうですよ」

 ちょうど足元にモニターがあって、内視鏡が腸内を進んでいくにつれて、映像が見える。いったん盲腸のところまで内視鏡を入れ、そのあと引き出しながら腸内を観察していくそうな。入れていく途中で、S字結腸のところや、大腸が縦から横に向きを変えるところの曲がり角を通すときが、それなりに苦しいと聞いていたのだが、予想外にすんなりと盲腸到着。もしかして俺って大腸太いか??。途中で、腸が横から縦に向きを変えるところだけ、上手く内視鏡を通すために、看護婦さんがお腹の上から、ぎゅうっと押える。空気を注入して膨らませているので、お腹が張った感じがある。
「はい、ではこれから、だんだんと引き出しながら見ていきます。右足を左足の上に組んでください。余裕があったら足元のモニターで、腸の中を見ていてもいいですよ」

 大腸は、長い提灯のような蛇腹構造だときいていたが、空気を入れて膨らませた腸内の映像は、たしかに長く伸ば した蛇腹のよう。内壁はピンク色だ。けっこうきれいじゃん。担当のドクターたちには見慣れた映像なんだろうが、こちとら、めったに見られない映像で、なかなか面白い。おならが出そうになるぐらいで特に辛くもなく、腸内映像を楽しみながら、ドクターの解説を聞く。

 大腸見物をしながら、だんだんと内視鏡を引き出してくる途中で、ポリープを1個発見。モニター映像だと大きさがよく分からないが、
「数ミリの小さいものです。検査のために、ちょっと切りましょう」とのこと。
こっちは、なにせ初体験のことなので、良いの悪いのを言う余裕もなく
「あ、は、はい、お願いします」
とか言うばかり。

 モニターを見ていると、ワニ口クリップのようなのが画面の下から伸びてきて、なんどか行き来して位置を調整した後、プチっと言う感じで切り取ってしまった。しかし、この内視鏡というヤツ。カメラとライトがついてるだけかと思っていたら、空気を送り込む仕掛けはあるし、ポリープを切り取るハサミはついてるし、腸内に残っていた便を水とともに吸い出す仕掛けもついているし、良く出来たカラクリだわいと感心する。

 ポリープを切り取ったあと、続けて腸内を肛門方向へ見ていくと、またまた1個ポリープ発見。今回はさっきのより、もうちょっと大きい。といっても、放置しておいてもいいし、切りとってもいいしという程度のものらしい。大きさは5ミリぐらいとのこと。放置して観察する場合は、5年後にまた内視鏡で観察するとのこと。切り取るんだったら、病院によって日帰りだったり、切り取る前後含めて何日か入院するところもあったりするそうだ。切るにしても急いでする必要はないし、休みの取れる時期を決めて、都合のいいときに切ればいいそうな。

 とりあえず、どっかでひまを見つけて切ることにします、ということにしておく。後日、正式な検査結果を聞いてから、ゆっくりと決めることにしよう。結局、見つかったポリープはこの2個だけ。1個は一部検査のために切ったが、根っこのところが残ってる。検査時間は15分ぐらいか。最後に内視鏡を引っ張り出して、お尻を拭いてもらって、お疲れ様でしたとなる。

 控え室で待っていると、看護婦さんが来て、検査後の注意。切り取ったポリープも見せてもらった。直径1センチ、高さ2センチぐらいの、小さなガラス瓶の液体中に、検体らしく、ゆれうごいている。腸内に空気が残っているので、気分が悪いかもしれないが、特に食べ物には制限ないので、普通に食べても良いそうだ。ただし、検査のためにポリープを切り取っているので、お酒は今日一日控えてくださいとのこと。まぁ腸内に傷口が出来てるわけなので、アルコールがそこに触れると、良くはないんだろう。

 腸のなかには、空気が残っていて、よくおならが出る。また、まだ下剤の効果があるのか、腸内を内視鏡で引っ掻き回したせいか、お腹が張った感じでトイレにいくが、水のような便が出るばかり。そりゃそうだ、夕べからほとんど絶食状態で、そのうえに浣腸だから排便するものなんかありはしない。気分はすぐれないが、まぁそんなに悪い結果ではなさそうなので、一安心。終わったら、ラーメンに炒飯大盛りでも食ってやろうと思っていたが、どうもそんな食欲ではなく、うどん定食で終えておいた。

 検査結果の正式な説明は10日ぐらい後とのこと、ちょうど夏期休暇に入ってしまうので、結果が聞けるのは夏休み明けかな。

●検診結果(2001/8/28)
 まず、ポリープは悪性のものではないということなので、とりあえずひと安心。ただし、ほっておいても小さくなることはなく、だんだんと大きくなっていくらしい。しばらく放置しておいてもいいのだが、大きくなるに連れて、ポリープの中に血管を巻き込むことがあるので切った時に出血が多くなるとのこと。それじゃあ早いうちに切ってしまおうか、ということにした。

松下病院のやり方は、2泊3日コースの入院、

・1日目:おかゆみたいな三度の食事と下剤で腸の中をすっからかんにする
・2日目:ポリープ切除
・3日目:出血がないか、切除後の観察&静養
というスケジュールだ。

 1日目の内容は、検査の時にはレトルトの食事をもらって自宅でやったが、家でやるといい加減にする人があるので、手術の時は入院させてきっちりやるそうな。この日は、ひもじくて退屈な一日になりそうだ。手術自体は、火曜日か木曜日に決まっているので、月〜水か水〜金で、休みを取れる日を決めなくては。

 手術の内容説明と、入院の日程調整も含めて、いったん病院の外来へ行くように、ということになった。

●入院手続き(2001/9/7)
 入院の日取りを決めるのと、手術の内容を説明するということで、松下病院の外来へ行くことになった。なにせ、病院というところには他人さまの見舞いにしか行ったことがないので、どんなだかドキドキ物だ。外来にいく日程は、健康管理室を通じて伝えてあるので、検査結果の資料については病院に回っているはず。検診や治療は9:00からだが、受け付けは7:30からやっているそうな。先着順になるので、7:30早々を狙っていくことにする。

 当日は、朝から土砂降りの雨。地下鉄の守口駅からとぼとぼと歩く。7:40ぐらいに、病院の初診受け付けに到着。すでに何人かの方が、カウンターに座って手続きをしている。話しを聞いていると、受け付け担当おじさんは病院の職員ではないらしい。職員は8:30からの始業で、それまでの時間外は外部業者に担当させているようだ。初診の受け付けを済ませて、二階の内科受け付け窓口へ。内科といっても、1診から12診まである。なんとたくさんに分かれていることか。時刻はまだ8:00前なので、長椅子に座って、窓口が開くまで待つことにする。

 8:30に、内科受け付けの窓口が開いた。ここでも、また問診票を記入する。身長/体重に、喫煙や飲酒の習慣、治療中の病気や服用中の薬がないかなどなど、よくある質問が並んでいるのだが、最後のところに見慣れない質問が。

「今回の検査で、癌が発見された場合、告知して欲しいですか?。家族が本人に告知しないように依頼しても、ご自身が知りたいですか」とかいったのが載っている。

 ポリープは良性なので大丈夫です。でも、置いといてもしょうがないので、切ってしまいましょうね、というストーリーだったはずなのに、こんなところで癌がどうのこうのという設問がくるとは、まったく予想外。
「おいおい、そんな質問がくるたぁ、思っちゃないよ、考えたこともないぜ」、とか思うのだが、
とりあえず、「癌だったら家族がなんと言おうと、自分が知りたい」ということにしておく。

問診票を受け付けに出して、
「9:00からになりますので、7番の診察室の前で、もうしばらく待っていてください。」
と言われて、またまた待機。廊下の左右にはいくつか診察室があり、既にその前のベンチでは、待っている方がけっこう居る。まだ9:00にはならないのだが、早くも患者さんを呼び入れる診察室もある。池波正太郎の「剣客商売・春の嵐」を読みながら、時間をつぶす。

 9:00過ぎになって名前を呼ばれ、診察室に入る。まずは、検査の結果の再確認と、手術の要領の説明。
手術は検査の時と同じ要領で、内視鏡を使って行なうとのこと。切り取りやすいように、ポリープに注射器で水を注入して膨らませ、ポリープの根っこにワイヤーをかけて、電気を流して焼ききる。切ったあとから出血したり、潰瘍になったりする虞れがあるので、手術を受けることについての同意書を提出しなければならない。本人の署名とは別に、保証人二人の署名が必要。一人は配偶者でよいのだが、もう一人は住所が異なる人に頼まなければならない。同じ職場の人に頼む、というパターンが多いそうだ。入院の日取りは、11月にすることに決めた。手術は、火曜日と金曜日に決まっているそうなので、2泊3日だと、月・火・水か、木・金・土のどちらか。3日間仕事を休むとなると調整が面倒なので、11月15日(木)〜17日(土)の3日間とする。真ん中の16日(金)が手術の日なので、誕生日に切除するという、バースデー記念イベントになった。

 日取りが決まって、これで今日は終わりかと思ったら、
「入院のために検査をしておきます」とのこと。
担当のNドクターが、パソコン画面から、あれやこれやと検査項目を選んでいく。出来上がった書類には、
 1)血液検査&尿検査
 2)心電図
 3)レントゲン
 4)入院受け付け
 5)会計
と、ずらずらっと検査項目が並んでいる。看護部さんに病院内の地図とともに渡されて、これらを全部経巡ることになった。

 まずは、血液&尿の検査。受付に行くと、書類をバーコードでチェックした後に、お決まりの紙コップを渡されて、
「トイレでおしっこを取って、トイレの中の窓口に置いてください」。
指定されたトイレに行くと、奥に切り窓があって検尿のコップを置くようになっている。戻ってくると、今度は血液検査。いつもの健康診断だったら、小さい試験管に2本とるぐらいだが、なにやら5〜6本の試験管がごろごろしている。
「はい、ちょっとチクっとしますよ」
の掛け声とともに、検査用の血が採られていく。結局、5本分を採血。続けて、血が固まりにくくないかどうかのチェックのために、耳にちょっと傷をつけて、血の固まるまでの時間をチェックする。試験管5本も採血したんだから、そっから検査すれば良さそうなもんだが、そうもいかんらしい。血で服が汚れないように肩の上に布を置いてから、耳に傷をつけて、看護婦さんが固まるまでの時間をストップウォッチで測る。ここは、これで終了。

 次は心電図の測定。この頃になると、院内もそろそろ人が多くなってくる。人ごみを掻き分け、掻き分け、というほどではないが、人の間をぬって移動する。またも書類を受付に出して、バーコードをチェック。すぐに検査室に入ると、上半身裸になってベッドに寝るように指示。両手両足プラス胸に4つの測定器を付けて心電図を取る。測定自体は1分ほどで終了。服を着てから、1階のレントゲンに移動する。

 1階のレントゲン室のあたりは、けっこう人が多い。受付に書類を出してから、10分ほど待つ。名前を呼ばれて入室すると、コンクリート剥き出しで、なんとなく圧迫感のある部屋だ。
「パンツだけになって、後は全部脱いでください」
担当のレントゲン技師の人が言う。お腹の下のほう・大腸を撮影するので、ズボンを穿いたままだとベルトが写ってしまうそうだ。

 まず、立位で正面から2枚、横を向いて1枚。腰のゴムが写ってまずいとかで、パンツも半分下ろされて、半ケツ状態で撮影する。レントゲン技師の人は男性だったが、患者が女性だったら、女性の技師が担当するのだろうか。それとも、オンナの裸だろうがなんだろうが、事務的にパンツを引き下ろすのだろうか。検査の時の経験からすると、後者のような気がするな。立位で3枚撮った後、今度は台の上に仰向けになってもう1枚撮影。これで全部終了だ。

 すべて検査を終えて、最後に入退院受付けへ。入院の手続き窓口で、入院の心得の冊子を受け取る。あとは、入院前日に最終の連絡が入るそうだ。会計窓口に行って、ずっと持ち歩いてきた書類をだすと、今日の請求金額が入った請求書が渡される。¥4,880也。本人2割負担でこの額ということは、¥25,000の検査ということか。清算窓口のとなりにATMコーナーがある。金額見てから不足するときは、ここでお金を下ろすハメになるんだな。退院までに大体いくらかかるのか、聞いておかないと。

●入院手続き(2001/11/14)
 入院を目前にしての、直前準備。まずは持参する書類。
・治療に関する説明/承諾書
 これは、ちゃんと治療内容の説明を受けて納得したので、手術をしてちょうだいというもの。
 要は、これで死んでも文句はないよ、といった類の書類で、本人と保証人もしくは親族のサインが必要
・入院誓約書
 こっちは、規則に従って入院生活を送り、お金はちゃんと払うよ、というもの。親族以外に、住所の異なる保証人一名のサインが要る。職場の同僚に「もし踏み倒したらごめんなf^^;)」とサインを頼んだ。金にからむことになると親族以外の保証人が増えるのが、なんとも「医は算術」か?と思わせる。

 その他、入院に当たってのいろいろな準備が必要らしい。洗面・洗髪の用具、箸や湯のみに急須などの食事の道具、ティッシュ、スリッパ、タオルetc.。ホテルに一泊だったら何も要らないのだろうが、病院はそうはいかないらしい。身の回りのものを、なんもかんも持参しなければならない。これらだけでたいした荷物になる。今晩は、この準備だ。
 午後になって、病院から電話。入院の時刻は午前10:00、入退院受付のところに来なさいとのこと。ついでに入院の費用のことを聞いておく。通常だと4〜5万円かかる手術だそうだが、松下健保からの補助があるので、上限が2万円。それ以外に、食事代とか、パジャマ代とか、健保の対象外の費用がかかるので、3万円あれば充分らしい。院内にはATM機もあるので、最悪はそこで出金すれば良いか。

●入院初日(2001/11/15)
 妻が取り揃えてくれた入院グッズ一式の紙袋に、暇つぶしに読もうという本、着替え、入院中に見ようと思っている研修の講義資料を入れたショルダーを持って出発。通常の出勤時間帯は過ぎているので、電車が空いてて助かる。定刻の10分ぐらい前に到着。
 入退院受付にいって、保険証と入院誓約書を出し、入院手続き完了。6階のナース詰め所に行くように指示される。エレベータで6階に上がる。建物はL字形になっていて、エレベータはL字の角のところにある。そこからフロアが東棟と西棟に分かれていて、詰め所も二箇所。そ〜いや入退院受付で、6階の東だとか西だとか言ってたよなぁと思うが、行き当たりバッタリで西に行ったらハズレだった。あらためて東の詰め所に行って手続き、承諾書とパジャマの借り入れ申込み書を提出する。

 部屋は東の602号室。4人部屋で、すでに3つのベッドは埋まっている。窓側の2つのベッドの内の一つが、これから2泊3日お世話になるスペースだ。窓は東向きで、飯盛から生駒の山並みが見え、その手前には、京阪・西三荘駅前の会社のビル群が見える。6階という高さもあってか、なかなか眺めは良い。
 部屋に案内されてから、パジャマを受け取った。「担当の看護婦が来ますから、着替えて待っていてください」というので、とりあえず荷物をロッカーに入れて、服を着替え、ベッドの上でしばし待つ。10分ほどして、担当のHナースがやってきたと思ったら「あとでいろいろと、お話しを聞かせてくださいね」のひとことで去っていった。さて「あとで」ってどれぐらい後なんだろうか?。
 暇つぶしにベッド周辺の設備を確認。ベッドは窓と平行に置かれている。白いシーツに、青いタオルケット、白いカバーの布団で、あお向けに寝ると左手が窓になる。大きな開口に、濃い灰色の遮光カーテン。窓の手前・ベッドの左手に、プリペイドカードを購入して使うTV。TV台はちょっとした収納にもなっていて、引出しの中にはティッシュボックスぐらいの大きさの金庫がある。ベッドの反対側・右手に、細い縦長のロッカー。こっちは大きく4段に分かれていて、一番下は扉式で靴などを入れる、その上は引き出し、その上は左半分が洋服をぶら下げるロッカーで、右側がガラス扉。こっちは食器とかを入れるスペースか。一番上は天袋といった感じ。
 ベッドに横たわると、右手にロッカーの側面が見えて、ここには各種スイッチなどが付いている。一番上は長い柄のライト、その下にライトとTVのon/offスイッチ、TVの音量とチャンネルスイッチ、コンセント2個、そしてナースコール用のインターホン、TV用のイヤホン端子とういところ。4人部屋なので、TVは必ずイヤホンで聞くようになっている。あとで聞いたらリモコンの受光部も、同室内の他のTVに影響しないように、普通のTVより小さく作った病院バージョンなのだそうな。ベッドは電動で上半身を起こせる仕掛けだ。

 一通りの装備を確認し終えたあたりで、さっきのHさんとは別のナースがやってきて「お願いします」と言い残して、体温計を置いていった。そっちにとっては定例の検温作業なんだろうが、こっちは初めての入院体験なんだから、もお二言三言くらいコメントがあっても良さそうな気がする。まぁ、文句をたれてばかりいても仕方ないので、とりあえず体温を測る。36.7度、普段よりちょと高い。
 11:00、再びHナースが戻ってきて、いろいろと問診。その後、院内というかこの6階フロアの案内をしてもらう。湯茶室、洗濯室、トイレ、風呂、面会室がこのフロアにあって、地下1階には、食堂、売店、理髪店がある。風呂は東棟に1箇所しかないので、予約してから入る。明日の手術の後は入浴不可なので、今日のうちに入っておくことにし予約する。15:00しか空いていないが、これは仕方ないところ。ひととおりの案内をしてもらってから、ベッドでごろりとする。
 11:30ごろになって、お茶の配給。でかいヤカンに入れたほうじ茶を、おばちゃんが給仕に来てくれる。同室の入院先輩方は、小さいヤカンやポットを準備して、ここにお茶を入れてもらっている。なるほどこれが入院持ち物の中の、急須ってヤツか。湯飲みだけしか持っていっていなかったので、ここに注いでもらうことにする。どうせ検査のために絶食とか、食べてもおかゆがほとんどなので、一杯あれば十分か。今日の昼食は、ゼリー状のミール(エニマグリンCS)、5枚入りのクラッカーが2袋、キャンディー2個。どれも江崎グリコ製だ。
 14:00に検温と脈拍チェック。14:15に採血、試験管4本ぐらい採る。15:00から入浴。といってもお湯をためてゆっくり入るには時間がないので、ざっとシャワーを浴びる程度。
 15:30になると、薬の説明。今日飲む下剤、明日の朝飲む下剤や嘔吐止めの薬がある。明日飲む下剤は2リットルと聞いていたが、実物を見るとちょっとげんなりする。一升瓶より多い量だもんなぁ。手術の後と、翌日には点滴もあるそうだ。
 17:00。担当のA先生が来室。といってもお腹をポンポンの触診ぐらいで、ものの2〜3分の話だけ。いたって簡素。

 18:00、夕食。おかゆに鮭のふりかけと、コンソメスープ。おかゆにはニンジンの細かく刻んだのと、卵少々がはいっている。これに「就寝前にお飲みください」というハーブティーが付いている。ティーと言っても粉末でお湯に溶かすだけ。これまたグリコ製だ。検査のときは、実家の夏祭りと重なっていて、暑いなかで動き回るのにロクに食べられずお腹が減って大変だった。今回はベッドでじっとしているし、朝食もちゃんと食べてきたせいもあってか、そんなにお腹がすかない。これといってすることもないので、ひたすら本を読んで過ごす。
 19:10、Hナースから明日16日の手術の要領について説明。15:30からだそうだ。朝昼絶食の上に、15:30まで何にも食べられないとは不幸なことだ。下剤を飲んで、便の状態が液体だけになってきたら、ナースに連絡するようにとの指示。
 19:20、もらった下剤を飲む。錠剤3粒と目薬ぐらいの大きさの飲み薬1本。それぞれ別の袋に入っている。大した量じゃないんだから、一袋にまとめて入れてしまえば良いのになあ。
 20:00、面会終了のアナウンス。「イエスタデイ・ワンス・モア」のBGMが流れる。
 21:00、「イエスタデイ」のBGMとともに消灯のアナウンス。ナースが各部屋の電気を消して回る。とはいえ、夜の内にもナースコールがけっこうあって、静かに安眠というわけにはいかない。なんどか眠りを中断されながら、寝たり起きたりの一晩だった。

●入院二日目(2001/11/16)
 5:30、下剤の効果か、お腹が張った感じがしてトイレに起きる。まだ時間が早いのでもう一眠り、とおもっていたら、6:00に「トップ・オブ・ザ・ワールド」のBGMとともに起床のアナウンス。もしかしてBGMの担当者は、カーペンターズのファンだろうか。6:20には、看護婦が部屋の電気を点けに回る。病院の朝というのは早いものだ。
 7:00、朝食用にお茶を配ってくれるのだが、今日は朝昼ともご飯は絶食。水分は飲んでも良いとのことなので、熱いうちにお茶をいただく。
 8:00、検査用のマグロコールP液、2リットル。ポカリスエットのような味だ。これを1時間以内に全部飲み干さねばならない。最初の1リットルぐらいはスッスッと順調に飲んだが、その後は四苦八苦。全部飲み干すまでは、やっぱり1時間近くかかった。これを飲む前に、吐き気止めの薬をいっしょにもらったが、こういうのでも飲んでいないと、2リットルの飲み物はちょっと飲みきれない。
 11:40、下剤を飲んでから排便4回目。便といっても黄色い水だけで、お尻からおしっこをしている感じ。もわもわとした固形物もない状態で、看護婦を呼んで見てもらうと、もういつでも手術OKとのこと。とはいえ、手術は15:30、まだ4時間ある。早めにすますわけにも行かないし、すきっ腹を抱えて待つのみか。
 13:05、部長回診。第二内科のT部長が回診するそうな。診てもらったからといって、格別ありがたいもんじゃないが、責任者が全部の患者に目を配っています、というデモンストレーションか。ポンポンポンとお腹を触診して、
「手術は何時からですか」
「そろそろ便がきれいになってきたでしょう」
とか言い残して、ものの1〜2分で次の患者さんへと去っていった。まぁ、こんなもんか。
 14:30、検温と血圧。36.6度で、血圧は上が104、下が76。

 15:40、ようやく手術。エレベータで2階に降りて内視鏡室へ向かう。手術の手順は検査の時と同じ。下着も脱いで、お尻に穴のあいた検査着に着替える。ポリープにわっかを掛けて電気を流して焼ききるということで、身体につけた金属物は全部取る。めがね、腕時計、指輪も取る。ベッドに上がると、電気の逃げ道のアースということで、背中に金属線を貼り付けられる。例のごとく、肛門の内側に内視鏡の入りを良くするための薬を、人差し指でグニグニと塗られて、内視鏡を入れ始める。モニターで腸内を見ながら、内視鏡を大腸の奥へ進めていくと、すんなりと盲腸まで到着。これから順次、内視鏡を引き抜きながら大腸の中を観察しつつ、ポリープの切除をしてゆくのだ。

 まずは一番奥にある一つ目のポリープ、肛門から72センチのところにある。前回の検査の時に、検査用にちょっと切り取ったところなので、焼ききるほど残っておらず、残った2ミリほどのポリープをはさみ取る。その後、だんだんと内視鏡を引き抜いてきて、肛門から25センチのところで二つ目のポリープ。今度はそこそこの大きさがあるので、焼ききることに。薬を1.5cc注入して、ポリープを膨らませる。ポリープ自体というよりは、その周りが膨らんで白っぽくなり、二段重ねの鏡餅のような状態になる。そこにワイヤーをかけて電気を流し、ジュっと焼ききるのだが、ワイヤーのわっかをポリープに掛けるのがなかなか難しそうで、A先生も「手がもう1本欲しいなぁ」といいつつ作業する。
 やっと、わっかが掛かったところで、電気を流しで焼ききった。ちょっと血が出て、焼ききったわずかな部分が焦げて黒くなっている。モニターを見ていたり、電気を流すときに手術室にはピーっという警告音が鳴るので、こういったことが分かるが、身体にはお腹が張った感じがするだけで、特に電気を流したとか、焼ききったというのは分からない。
 さらに内視鏡を引いてくると、肛門から12センチぐらいのところで3個目のポリープ発見。これも5ミリぐらいはあるので焼ききる。結局、今日は3個のポリープを取った。検査の時には2個ということだったが、内視鏡は大腸内で75%の視野しかないそうなので、見落とすのも止む無しか。処置後、次回の検診の日程を決めて、病室に戻ることに。Nナースが車椅子を準備していてくれたが、これに乗るほどのこともないので、歩いて病室に戻る。

 手術後に点滴があると聞いていたのだが、そんなに体が弱っている感じもないし、何のためにするのかと思っていたら、止血剤が入っているとのこと。腸内を傷つけているので、ここからの出血を抑えるのだそうだ。
 16:30から点滴を開始。これがなかなか終わらない。最初は左手に刺していたのだが、点滴のしずくのポタポタポタが、ポタ、、、、、ポタ、、、、、、ポタ、、、、、、という感じになってきて、2時間経っても終わらないので、Nナースが右手に刺しかえる。こちらでも2時間弱。けっきょく500ミリリットルの点滴に4時間コースだった。血管が細いのかして、献血のときにもいつも時間がかかるのだが、明日の朝も点滴があるのに、こんな調子じゃ思いやられる。点滴が済んだら、自宅に手術完了の電話しようと思っていたが、この調子じゃ電話するのが夜中になってしまいそうだ。点滴の袋をキャスターにぶら下げて、ガラガラと押しながら面会室の電話機まで移動し「無事終わったけど、点滴が大変」と、妻に電話をする。
 夕食も点滴のチューブをつけたまんま。ワイヤードの生活というのはラクじゃない。寝返りを打つのも、ちょっと手を伸ばして物をとるのもチューブを気にしながらで一苦労だ。夕食のメニューは、おかゆに、でんぶ、白身魚の煮物、ナスの煮びたし、豆腐。どれも油は使っていないさっぱりメニュー、入院して初めて食事らしいメニューにありついた。魚は煮物じゃなくて、蒸し物かもしれない。おかゆは結構ボリュームがある。それに、でんぶなんて食べたのは何年ぶりだろう。
 21:10、点滴終了とともに就寝。

●入院三日目(2001/11/17)
 入院最終日。朝食はコッペパン2個、紙パックの牛乳200ミリリットル、りんごのジャム、固ゆで卵。トレイが二つに仕切られていて、半分は温かく、半分は冷たくしてある。パンと、卵は温かい方、ジャムと牛乳は冷たい方に載せてある。品質保持を考えてのことかもしれないが、温かいものは温かく、冷たいものは冷たくサーブしてくれるのは嬉しい。

 食後にさっそく点滴。さて今日は2時間ぐらいでは終わるかなぁ。昨日よりは、ポタポタ落ちるペースが速いので、ちょっと期待する。点滴の最中はこれといってすることもないので、点滴の液袋を眺める。大塚製薬製ポタコールR、500ミリリットル。ポタポタ落ちるからポタコールなんだろか?。袋には、糖質・電解質溶液と書いてある。成分は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、電化カルシウム、乳酸ナトリウム、マルトース。このマルトースってのが止血剤なのかな?。熱量は200kcal、ということはカロリーメイト1缶分か。

 点滴の最中に、事務のお姉さんが入ってきて、請求書兼領収書を手渡していった。処置料、検査料、手術料などetc.で、合計34,000円ほど。おいおい、上限20,000円で、食費やパジャマのレンタル料入れても、3万円あったら充分おつりが来るはずじゃなかったの?!。よく見ると給付金でマイナスがあって、計23,000円が支払額だった。とはいえ、土曜日のくせに病院内のATMはお休み。お金が足りなくてもATMで出金するわけにも行かない。いまどき日曜祝日でもATMが動いてるのは当たり前だぞぉ。
 さて、点滴が終わったのは、11:00を充分まわっていて、けっきょく昼食まで病院で過ごすことに。昼ご飯もやっぱり、おかゆ。もひとつ腹もちが良くないなぁ、とか文句をつぶやきつつ、きれいにたいらげて、退院の準備。布団とパジャマをたたんで、ロッカーに入れた物を引っ張り出して、荷造り。ナース詰め所で「退院します」の声をかけてから、1階へ。会計で支払いを済ませて、これで入院生活は完了だ。あとは、12月10日にもう一度受診のため来院するだけだ。まぁ、術後の経過確認ぐらいといったとこだろう。やっと山を越えたというとこだ。

●術後の受診(2001/12/10)
 手術後の受診があるので、病院まで行く。診察の申込みは8:30からで、実際の診察は9:00からと聞いていたので、申込み開始の8:30を目指して病院に行く。7台並んだ、銀行のATMのような機械に診察券を入れると、「消化器科で予約があります。」のメッセージ。日にちは間違っていないな、と思いながら見ていると「時間は14:30から」とのこと。朝早くから来たつもりだったが、病院自体は7:30から初診受付をやっているし、早朝から来院する方が多いそうな。遅くとも午前中で受診を終えて、昼食後に本屋で買物という予定はもろくも崩れた。
 先に本屋に行こうかとも思うが、8:30じゃまだ開店していない。時間はたっぷり余ってしまったので、歩いて京阪守口まで移動。京橋の近畿大阪銀行で用事を済ませて、ドトールでコーヒーを飲んで、本屋で買物。京橋をぶらぶらと散歩して、再び地下鉄で守口へ。

 予定の14:30少し前に着いたのだが、診察が30分遅れとの張り紙がある。「全力で対処しております」というコメントが書いてあるが、なんだか脱力感。それでも10分ぐらい待ったところで名前を呼ばれて、診察室へ。「手術後、体調に変化はありませんか」「便に血が混じることはありませんか」と聞かれて、お腹をポンポンと触診して、「はい、けっこうです」。ものの2分といったとこか。どうせ体調の確認ぐらいで、大したことはないだろうと思っていたが、予想通りだった。
 ともあれ、これで今回の大腸ポリープ騒ぎは一件落着。検便で血が混じっていたというのも、軽い痔だったのかもしれないし、ポリープも小さいのが三つしかなかったので、これくらいなら気づかずにいる人も大勢いるのだろう。手術なんてのをしなくても、大勢に影響なかったかもしれないが、この程度の軽い病気で、入院にかかわることを色々知られたのは、貴重な体験だった。

●一年後の検診の前日(2002/12/15)
 ポリープを切ってからほぼ1年が経った。術後の検査で、また健康管理センターに行くことに。当初の予定は11月だったのだが、仕事の都合で何度か変更して、けっきょく12/16(月)に決定。前日は例によって、検査食しか食べられず、ひもじい思いですごす。朝は検査食があったのだが、あまり食欲もなかったのでコーヒーだけにした。昼は指示どおりに、葱も入っていない素うどん、夜は検査食の「ささみのおかゆ」。

 絶食といっても、固形物は腸に残るからだめだが、飲み物は大丈夫。つぶつぶオレンジのような固まりの入ったのや、牛乳はだめだが、お茶やスポーツドリンクはOK。食事の後にBS2で、おやじのバンドバトルを見ながら、晩酌2合。日本酒も液体だし、まぁよかろう。21:00に粉末の下剤を200ccの水で溶かして飲む。ポカリスエットみたいな味。さらに就寝前には、赤い下剤を4錠。これってバリウム飲んでエックス線撮ったあとに飲む下剤と同じかな。バリウムのときは2錠で十分だけど、その倍の分量か。起きててもお腹が空くので、22:00に寝てしまう。

●一年後の検診(2002/12/16)
 朝の5:00頃に目が覚めて排便、大半の固形物はここで出てしまったようだ。その後、2回トイレに行く。食事は出来ないので、今朝もコーヒーだけ飲んで、7:30頃出発。普段乗りなれない時間のJRは、けっこう混んでいる。京阪守口駅から歩いているうちに、モーニングだの朝定食だのの旗や看板を見るにつれ、思わず吸い込まれそうになりながら、8:45には健康管理センター到着。

 受付を済ませて、13番の更衣室前へ。看護婦さんから検査の概要を聞いて、液体の下剤を受け取る。手順は去年と変わっていないが、今回は午後からの検査だ。下剤を飲んでから検査までの4時間ほどをどうしてすごそうかが、悩みのタネ。飲まなきゃならない下剤は900cc。昨年の手術の時は2リットルだったので、今日はその半分以下だが、スポーツ後のビールや風呂上がりのフルーツ牛乳と違い、生ぬるいポカリスエットのようなのを飲むのは一苦労。看護婦さんによると、コップに200ccぐらいを注いで、注いだ分は一気に飲んでくださいとのこと。最初の200ccは一気に飲めたが、2杯目は半分でひと息ついて2回で飲み、3杯目、4杯目は、ため息をつきながら飲む。

 「11:20になったら、お通じの様子をうかがいますから、またここに来てください。それまでは自由にお過ごしください」、などとは言われたものの、娯楽施設があるわけでもなく、腹ごしらえを出来るわけでもなし。「自由に」って言われてもなぁ・・・・・・。

 とりあえず中にいても退屈だし、外もけっこう暖かいので、建物の外をまわってみたり、地下1階から2階を経巡ってみる。3階以上は病室になるので、うろうろしていると咎められる。池波さんの文庫本も持ってきたのだが、結局こうして、シグマリオン2でHP掲載用の文章をつくって暇をつぶしている。集合時間までの間、排便は2回。まだ、もわもわっとしたのが残っている。

 11:20、また更衣室前に集合して、看護婦さんが一人ひとりに便の様子を確認。今日の午後は全部で6人の受診者がいる。便に、もわもわした固形物が残っていると報告したら、「念のために下剤を追加しましょう」と言って、コップに300ccの下剤を持ってきてくれた。自分以外に、もうひとり、下剤を追加する人があり、仲間がいることに、ちょと安心する。これを一気飲みして、12:40までは、また自由行動。待ちあいコーナーのベンチでテレビをみたり、外でひなたぼっこしたりして時間をつぶす。

 12:40からの検査は自分を含めて2人。例によって、下着も靴下も全部脱いで、素っ裸の上に検査衣を着る。準備が出来たところで呼ばれて、検査室に入る。前回の検査のときは、このあともう一度、お尻から下剤を入れて、再度排便したが、今回はこのまま内視鏡検査を始める。今回も検査は女性のドクターだ。

 左を下に横にして、背中を丸めて膝をまげて、検査台に寝る。肛門にヌルヌルっとしたのを塗ってから、ドクターが内視鏡を入れていく。途中で仰向けになって、右足を左足の上に組むのも前の検査とおなじ。途中で腸の向きが縦から横に変わるところで、看護婦さんがお腹をギュっとおさえる手順もおんなじだ。大腸を膨らませるために空気を入れるので、お腹が張った感じがあるが、痛みはとくにない。盲腸のとこまで入ったところで、内視鏡を引き抜きながら検査してゆく。2回目の下剤のせいか、腸の中に黄色い水がけっこう残っている。モニターで見ている大腸の映像も、もう見なれたかな。ピンク色の蛇腹状の内壁が良く見える。

 内視鏡を引き抜き始めてすぐに、小さなポリープ発見。
 「検査のために取っておきますねぇ」とドクターが言う。
 モニター画面を見ていると、下のほうから青い色の液体がシュっと吹きかけられた。切り取る前に消毒のようなもんだろうか。例によってワニ口クリップのようなのが伸びてきて、ポリープをプチっと切り取った。このあとも小さなポリープが2,3あったが、どれも大したことはないので、このまま置いておきましょうとのことだ。

 「切り取ったポリープは検査にまわして、結果は健康管理室からお知らせします」ということなので、この結果でなんともなければ、来年からは内視鏡検査ではなく検便だけですむ。これといって痛みもない検査だが、前日の絶食にくわえ、腸内を内視鏡で引っ掻きまわされるので、受診せずに済むならそれにこしたことはない。今日も検査の後は、病み上がりのようなヘトヘト状態だった。

 検査のあとは、注意事項を書いた紙を渡された。今日一日はお酒を控えましょうとか、痛みや出血など異常を感じたら、すぐに申し出てくださいなどと書いてある。看護婦さんが一通り説明して、
 「腸内に空気を入れて検査していますから、たまった空気をおならで十分出してください。食事は、普段どおりしていただいて結構ですが、お腹がびっくりしますから刺激の強いものは避けてください」とのこと。
 検査衣から着替えて、ちょとふらふらする気分で家路についた。切り取ったポリープの検査結果は、1週間ぐらいで出るそうなので、あとはそれを待つばかりだ。来年は内視鏡のお世話にならなくて済めば良いのだけど。

●検診結果(2003/1/10)
 年末に受けた検診の結果を聞きに、健康管理室に行く。今回の検査では大腸の一番奥のところと、直腸のところにポリープがあったという説明。どれも腫瘍にはなっておらず、心配ないそうな。次の健康診断で検便に異常がなければ、もう内視鏡検査はしなくてよい。痔なんかの出血が原因で便潜血の診断にならないように、健康診断の前に市販の座薬で治療をしておくようにアドバイスがあった。でも痔なんて縁がないんだけどなあ。
 まぁ、ともあれこれで二年がかりの大腸ポリープからオサラバできたのかな。

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